シングリッシュについてまとめます。
1、シングリッシュって何?
シングリッシュとは、シンガポールの日常会話でよく使われる、英語がベースの混合語です。
多民族国家であるシンガポールで、
様々な母語・バックグランドを持つ人々が共に暮らす中で醸成されてきた言語であり、
マレー語、中国語方言(福建語・潮州語・広東語等)、タミル語など、様々な言語の影響を受けています。
2、シングリッシュの訛りの程度は?
シングリッシュは英語がベースですが、マレー語、福建語、タミル語から借用された単語も多いです。
また発音も英語圏のネイティブスピーカーとは異なりますが、訛りの程度や発音の癖は、人に依って違います
(家庭での母語の影響が大きく、世代格差もあります。)。
そのため、英語ネイティブスピーカーでも、シングリッシュを初めて聞くと、分からない事がよくあります。
中国語(の方言)が母語の人の中には、
漢字1文字を言葉の単位として話す事に慣れているためか、英語の1語をとても短く早口で話す人もいて、
そういう人の話すシングリッシュは特に聞き取るのが難しいです(上の世代の中国系の人に多いです)
3、シングリッシュって公式な言葉?
いいえ。
シンガポール政府は、シングリッシュではなく標準的な英語を使う事を奨励してります。
学校での授業も標準英語で行われ、ニュース等のテレビ番組も基本的には標準英語が使われます。
4、シングリッシュの使われ方
シンガポール人は場面や状況に応じて、標準英語、シングリッシュ、その他の母語(マンダリン・中国語方言・マレー語・タミル語など)を使い分けています。
若い世代ほど、標準的な英語を話す割合が多く、ビジネスや外国人との会話では標準英語を使いますし、
家では両親や祖父母の母語で会話をする家庭が多いです。
しかし、シンガポール人どうしの会話では、シングリッシュで話すと親近感が出るようで、
標準的な英語を話せるシンガポール人も、シングリッシュで話す事が多いです。
学校で標準英語を使うと、
「何かっこつけてるの?」「よそよそしいよ。」と周りから言われる事もあり、
友達どうしではシングリッシュで話す文化があるようです。
この点、関西人が地元で関西弁を使うのと似ているかもしれません。
ちなみに、私の同僚に、アメリカからの帰国子女でアメリカ英語のネイティブスピーカーと、
シンガポール人と結婚してシングリッシュがペラペラの人とがいたのですが、
シンガポール人の反応が圧倒的に良かったのは、シングリッシュがペラペラの方でした。
シンガポールの人々も、シンガポール人・アジア人としてのアイデンティティがあります。
外来語である(標準的な)英語よりも、地域や文化に根差した地元の言葉に愛着を感じる人が多いのも当然かもしれません。