シンガポールの通貨をまとめます。
金融立国シンガポールの為替制度と金融政策、旅行でも使うシンガポールドルを、
分かりやすく解説します。
1、シンガポールの通貨
シンガポールの通貨はシンガポールドル(Singapore dollar)です。
$、S$、SGDと標記されます。
1シンガポールドルは100セントです。
シンガポールとブルネイの間には通貨互換協定があるため、シンガポールドルはブルネイでも使えます。
2、紙幣・硬貨
紙幣は以下の種類があります。
2ドル、5ドル、10ドル、50ドル、100ドル、1000ドル
硬貨は以下の種類があります(1セント硬貨はほとんど流通していません)。
1ドル、50セント、20セント、10セント、5セント、1セント
3、為替制度
シンガポールドルは為替バンド制が採用されています。
シンガポール金融庁(MAS:Monetary Authority of Singapore)が為替の変動許容範囲(為替バンド)を決定し、
その範囲内でのシンガポールドルの為替レートの変動が認められています。
かつてはイギリスポンドやアメリカドルにペッグされた固定相場制でしたが、
1985年より固定相場制と変動相場制の中間的な現制度に移行しています。
4、金融政策
シンガポールドルは、通貨バスケット(※)にある程度連動するような金融政策が採られています。
(※)米ドル等の複数の通貨を一定割合でミックスさせた仮想の為替指標
通貨バスケットの各通貨の構成割合は、貿易取引量やシンガポールの経済状況を考慮して決定され、
定期的(半年に1回程度)に見直されます。
しかし、通貨バスケットや変動許容範囲(為替バンド)は非公開となっています。
MASの金融政策・為替管理の目的は、インフレ抑制と、シンガポールドルの乱高下の防止です。
(シンガポールドルの市場規模は米ドルやユーロに比べると小さいため、変動幅が大きくなりがちです。)
MASが為替レートを金融政策の管理目標にしている事は、利率やマネーサプライのコントロールを放棄している事を意味します。
「国際金融のトリレンマ」という金融政策論で言われるように、各国政府は自国の金融政策で、
(1)自由な資本移動、(2)固定為替相場制、(3)独立した金融政策
のうち、2つまでしか同時に達成できません。
シンガポールの場合は「自由な資本移動」と「固定為替相場制(の一部)」を採用し、独立した金融政策(の一部)を放棄しています。
5、シンガポールドルの推移(対円・米ドル・ユーロ)
シンガポールドルは、主要通貨に対して以下のグラフのように推移しています。
円・・・1シンガポールドル当たりの円レート
米ドル・・・100シンガポールドル当たりの米ドルレート
ユーロ・・・100シンガポールドル当たりのユーロレート