シンガポールの民族構成

シンガポールでは多様な国籍、民族、人種の人々が見られます。
シンガポールの民族構成をまとめます。


1、シンガポールの民族構成

シンガポール人口約7割がシンガポール人(シンガポール国籍)で、3割が外国人です。

シンガポール人の97%は、中国系・マレー系・インド系の人たちが占めてます。

(1) 中国系

シンガポール人の74%を占めます。

中国系シンガポール人の祖先は、福建省、広東省、海南省、広西チワン族自治区など、中国南部の華南地域の人が多いです。

中国からの出稼ぎ労働者も多く、建設現場やホーカーと呼ばれる屋台の仕事に従事している人も多いです。

物価が高い割に、シンガポールの屋台の食事代は安いのですが(300円~700円程度)、人件費が安い外国人労働者を柔軟に受け入れている事が理由の1つだと思います。

シンガポールで生まれ育った中国系シンガポール人の中には、
(大陸の)中国人はシンガポール人に比べて洗練されていないと評する人もいますし、
他方、中国人の中にも、中国系シンガポール人の中国語は中国人に劣る、と言う人もいます。

育った環境や教育が違う以上、文化や知識に多少の違いが出るのは当然ですが、
シンガポール人と中国人の間でも、お互い別の国の人、という感覚があるように見えます。

プラナカンやババ・ニョニャと呼ばれる、15~17世紀にマレー諸島(マレー半島南部やインドネシアの島々)に移住した中国人の子孫も、中国系シンガポールに分類されます。
(しかし「ニョニャはマレー系だ」と主張するシンガポール人もいます。)

(2) マレー系

シンガポール人の13%がマレー系です。

マレー半島のみならず、インドネシアの島嶼を出自とする人も多いです。

マレー系シンガポール人のほぼ全員がイスラム教徒です。

(3) インド系

シンガポール人の9%がインド系です。

一口にインド系と言っても、インド各地を出自としているため、母語や宗教も様々です。

インドのみならずパキスタンやスリランカ等の南アジアからの人々もインド系に分類されています。

タミル語圏(インド南部)からの人が最も多く、インド系シンガポール人の半分強を占めます。

(4) その他

シンガポールの人口の3割が外国人です。

その国籍の内訳は公開されていませんが、以下の民族はシンガポールでよく見られます。

(a) 欧米人

シンガポールには多国籍企業のアジア本社や研究機関が多い事、税金が安いため富裕層の移住が多い事、金融が主要産業である事から、欧米人は多いです。
ジム・ロジャーズがシンガポールに移住した事は有名です。

(b) フィリピン人

英語力が高い事、人件費が安い事から、飲食店のスタッフやメイドにフィリピン人が多くみられます。
共働きが多いシンガポール人の世帯では、子育てや家事にメイドを雇う事が多く、
メイド用の1畳くらいの寝室が付いているコンドミニアムも見られます。

(c) マレーシア人

英語力が高い事、教育水準が高い人が多い事、シンガポール人よりも人件費が安い事から、
会計事務所のスタッフやITエンジニア等で、マレーシア人も見られます。

(d) ミャンマー人

製造業の工場で、低賃金で働くミャンマー人が見られます。
聞いた話では月収500シンガポールドル(約4万円)。
地価が日本より高く、人件費も高いシンガポールでさえ、
柔軟に外国労働者を受け入れる事で、製造業で利益を出せる仕組みがある事に驚きます。

(e) バングラデシュ人

建設現場では、バングラデシュからの出稼ぎ労働者が見られます。
シンガポール人がやりたがらない職種や、
人件費を安くしないと他国の企業との競争に勝てない業種では、
外国人労働者を積極的に受け入れているように見えます。

(f) 日本人

シンガポールに住む日本人も多いです。
正確な統計は無いのですが、4万人~8万人程度だと推測されます。(詳細はこちら)
ビジネス、留学、移住、と目的は様々ですが、ビジネス目的の人が大多数に見えます。

 

2、シンガポールが多民族国家になった歴史・政策

国際色豊かなシンガポール。
多様な国籍、民族、文化・母国語の人々から構成されているのは、
以下の歴史と政策の影響が大きいと考えられます。

中国とインドを結ぶ海運上の要所であり、イギリス植民地時代に様々な地域から人々が集まった。
以下の政策から、英語・中国語(マンダリン)を話すシンガポール人が多く、外国人や移民がビジネスや生活をする上で、言葉の障害が少ない。
・マレーシアからの独立時、当時の主要民族に配慮して、英語、中国語、マレー語、タミル語の4つが公用語とされた。
・シンガポール政府が中国語と英語の普及・教育に力を入れた。
世界中の優良企業や富裕層を呼び込み、シンガポールの経済発展や雇用を生み出すため、以下の政策が採られた。
・法規制を少ない、ビジネスがしやすい法制度を整備した。
・所得税率や法人税率を低くし、税負担を安くした。
この政策は、特にビジネスの場所の制約が少ない業務や業種(管理部門、経理などの事務、金融やIT業など)でのシンガポール進出を促し、多くの他国籍企業がシンガポールにアジアや東南アジアの統括拠点を設置した。

シンガポールは多民族国家として成立し、政策でも多様性を促進・維持している、と言えそうです。
(但、近年は、野党が「物価上昇は外国人の流入が多過ぎるせいだ」と与党との対立軸を打出しているため、
政府与党も外国人へのビザや永住権の付与審査を厳しくしています。)

 

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